症例ギャラリー
No.30 かみ合わせの治療
はじめの相談内容 | 他院で左上3本の銀歯除去とむし歯治療後、かみ合わせが明らかにおかしい。頭痛が続き左側の顎や筋肉が痛く、食事も取れない。 |
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治療内容・ 説明 | 30代日本人男性。自宅近くの歯医者で左上3本の銀歯のむし歯を指摘され、保険の白いもので治療をした。 初診時で、CT撮影、口腔内写真撮影、かみ合わせ検査を行い、状態的に緊急を要すると判断したため、最短の3日後に検査結果と必要な治療の説明を行なった。原因は、かみ合わせの確認なく、3本の歯の銀歯を除去されたことで、かみ合わせがずれ、そのずれた位置で詰め物がされてしまったこと。咬合が傾き、滑り込んで低くなってしまい、さらに、歯のガイドとなる前歯の接触点を削られたことにより、顎関節の位置が後ろ下方へずれて、筋肉疲労を起こしたものと診断した。 実は非常によくあるケースであり、人によりずれの度合いや感覚が異なるため、特に違和感で終わる人も多いが、歯のガイドやストッパーの役割をしていた部位の接触を削られた場合は、大抵の人は顎関節の痛みを発症すると私は考える。 治療法はかみ合わせ検査で得た本来の咬合の位置で咬ませること、低く傾いて詰められたものを除去して、正しいかみ合わせの位置でダイレクトボンディング治療を行なった。その際、全体の歯の調整(足すまたは溝を入れる)が必要になるため、所要時間は2時間を要した。患者様の同意と協力で治療は順調に終了。 その後、定期的なかみ合わせの確認のため、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月に一度来院、その後は4ヶ月に一度のメインテナンスで、現在、かみ合わせも良好、体調も好調。 本ケースは、違和感や痛みを感じてから、危険を感じすぐ行動し、数ヶ月以内で安定したかみ合わせに再構築・回復できたことが、救いとなった。それでも、顎の違和感や筋疲労、精神的な予期不安や落ち込みが完全に無くなるまでには、数ヶ月を要している。 |
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1. 初診(正面)
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1-1. 初診(左側)
噛んでいて何の問題もないように見えるが、この位置はずれ込んだ位置で、非常に窮屈な位置であると判断した。(かみ合わせ検査より)
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1-2.初診(左上奥歯の咬合面観)
3週間前に治療したとは思えない状態。。
かなり削り込まれている。歯の機能がなくなっている。 -
1-3.咬合器模型:左側
(最大咬合接触位)今噛んでいる位置
ずれ込んだ位置を示している。 -
2.来院2回目
かみ合わせは安定している。前歯の治療はこれから。
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2-1. ダイレクトボンディング治療後(左側)
必要な点と斜面が当たるように再構築している。
ステップとしては、この位置で安定したら、矯正治療へ移行するが、希望されなかった。 -
2-2.ダイレクトボンディング治療後 (咬合面観)
必要な凹凸と斜面、点接触を与えた。微調整と最終研磨前。
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2-3. 咬合器模型:左側(中心位)
実際のかみ位置とこれだけの差があるのには驚く。1-3と比較。
この隙間分、顎の筋肉は歯が接触するまで噛み込むように働く。
顎が痛くなるのも頷ける量。 -
3.来院3回目
かみ合わせが安定した。
前歯の治療も終了。
本ケースはスプリントは使用しない。
常に一定の咬合の位置で筋肉を安定させる必要がある場合は、取り外しのスプリント等は勧めない。 -
4.来院4回目
患者さまはかみ合わせが安定し、見た目もキレイになったと満足、安心してくださった。
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治療期間 (所要時間) |
来院4回(初診から治療完了まで)+その後の定期チェック 4ヶ月に1度 |
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治療費※ | TOTAL¥177,000+tax |