症例ギャラリー
No.32 かみ合わせと顎関節治療
はじめの相談内容 | 両側の顎が痛い、朝や夕方頃が特に痛みが強い。食事でうまく噛めない。かみ合わせが悪い。 |
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治療内容・ 説明 | 20代女性。幼少期〜高校生までブラケットワイヤー矯正の経験あり。定期的に検診も受けてきた。 ・CT/TMJ(顎関節部)撮影とかみ合わせ検査より、左右両方の顎が後上方にズレこみ、さらにやや回転しながら左側後方へ偏位していた。この顎関節の位置は極めて窮屈で、顎関節に付着している筋肉や周囲筋はひどく緊張と疲労を強いられる位置である。患者さまの本来心地よくかみ合うべき位置では、左右奥歯が全くかみ合っていないため、奥歯がかみ合うところまで顎はずれこみ、それを筋肉がコントロールしている。非常に辛いことが伺える。 ・問題は、過去の不適切な矯正治療と後戻りにより、左右の犬歯ガイドがなく、左右奥歯に過度な力が加わってきたこと。奥歯の圧下と傾斜が起こり、前歯の干渉や摩耗が生じていること。長期的に左右のバランスを失い顎はずれ込み、慢性の筋疲労を起こしていること。 ・解決法は、患者さまの理想の顎の位置で全体の歯がかみ合うようにすること。まずは、咬合器上のCR-中心位の位置でスプリントを作成し、顎の位置を確認、安定させる。再矯正治療はこの中心位の位置(顎や筋肉が快適な位置)からスタートさせる。決して今噛んでいる位置でスタートさせてはいけない。ここが非常に重要なポイント! ・リポジショニングスプリントを装着してCT撮影すると、顎の位置がより良く変化しているのが確認できる。 ・現在、初診時から3週間で、患者さまの顎の筋疲労は改善し、痛みは消失。
※ 関連症例
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1. 初診
上下の正中の位置がかなりズレている。矯正治療をしていたはずであるが、左右の歯列が乱れている。歯の本数も違う。
この位置は非常に窮屈な習慣性の咬合位置である。 -
2.初診時 右顎関節
右顎関節部の下顎頭が後ろ上方に押し込まれているのがわかる。窮屈な位置で筋肉や靭帯は疲労するため、顎が痛いのもうなずける状態。
理想は、下顎頭が真ん中の12時の位置にあること。
※頚椎にも注目!歪みと圧迫しているように見える。 -
3.初診時 左顎関節
2.と同様に、左の下顎頭も後ろ上方に押し込まれている。非常に窮屈な位置である。顎が痛いのもうなずける状態。
※頚椎にも注目!歪みと圧迫しているように見える。 -
4.初診時 CT:TMJ(左右)
左右の顎関節部のCT-スライスした画像。
左右ともに下顎頭の位置が後ろ上方へ押し込まれ、窮屈な状態。非常に良くない位置にある。 -
5. 咬合模型(中心位)
患者さまの本来のかみ合わせの位置を示す。
左右奥歯が全く噛んでいないことがわかる。
この位置から、顎は全体の歯がかみ合うまでずれ込む→今の窮屈な位置になる。 -
2-1. スプリント装着時 右顎関節
2.初診時と比較すると一目瞭然、下顎頭の位置が良く変化している。
※頚椎の変化にも注目!
2.初診時の頚椎は歪んで圧迫されているように見えるが、正しい位置でかみ合うようにすると、2-1.頚椎が真っ直ぐ起き上がったように見える。 -
3-1. スプリント装着時 左顎関節
3.初診時と比較して、下顎頭の位置が良く変化している。
※頚椎の変化にも注目! -
4-1. CT:TMJ(左右)
4.初診時と比較すると、左右とも下顎頭の位置のより良い変化が見える。
下顎頭や筋肉が快適な位置の範囲に収まっていると判断できる。 -
5.スプリント装着時
食事とビジネス会話以外は装着していただく。
治療期間 (所要時間) |
来院2回(1回治療時間:約60〜90分) |
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治療費※ | TOTAL¥66,000+(矯正治療費¥825,000) |