「歯と顎のバランスを整えること」それが、かみ合わせ治療です。
かみ合わせは決して単独のものではなく、
むし歯治療、セラミック治療、根管治療、インプラント治療、矯正治療、
どんな治療の場合でも常に考慮する必要があります。
むし歯治療と咬合治療は別のものだと思っていたと、言われたことがありました。
当院でかみ合わせ検査をして、ズレていた咬合を安定させ、咬合管理しながら治療を進めていたところ、
見覚えのない治療の後が…当院に通いながら、他院の保険診療でむし歯治療をしていたとの事でした。。
お話を伺うと、咬合治療は自由診療できちんと診てもらい、むし歯治療は保険診療で安く済ませたいとお考えになっていた、30代の患者さまでした。
なるほど….
噛み合う面の凹凸や形が変わってしまえば、管理していた咬合はすでに別のものになってしまい、
咬合検査と治療計画が結局無駄になってしまった…というケース。
でも、この経験が、咬合を歯科治療の中にきちんと位置づけよう!きちんと知ってもらおう!と改めて考える機会となりました。
当院は「審美×かみ合わせ(咬合)」という言葉をスローガンとしていますからね。
わずかでも、かみ合わせに関わる部位にむし歯があるとしたら、
それはかみ合わせを考慮してむし歯治療をすべきであるというのが、正解だと思います。
かみ合わせ治療が特別な治療であると思われている理由は、実にシンプル。
保険治療に組み込まれることなく排除され重要視されず、保険診療では全く行われてこなかったからです。
本当は、治療を始める前に必要な事柄であるにも関わらず…
一方で、ほぼ日本全国民が知っていること、それは、
矯正治療は保険ではできない、自由診療で高額である。ということです。
これがまさに重要な点で、その時代に国がそう決めたからそうなっただけであり、
誰も疑わないのです… 矯正治療は果たして高い治療なのか?と。
高いものだと教え込まれた、そう知られているから、矯正治療がなぜ高いのかの説明はいらないのです。
でも、かみ合わせの治療となるとなぜ必要なの?なぜ高いの?なぜ保険外なの?という質問に説明が必要なのです。
咬合治療は矯正治療ほど時間のかかる治療ではありませんが、全ての治療の基盤、矯正治療を進める上でもなくてはならないもの、歯の治療の根幹です。
咬合治療と矯正治療は似て非なるもの、そしてともに重要です。
咬合は常に確認するものであり、メインテナンス時に必ず確認します。
では、何を基準に確認するのか、それは、「お一人おひとりの顎と歯の快適な位置とスムーズに動く位置が適応範囲に収まっているかの確認」です。
かみ合わせ検査とCTによるこの確認は非常に大切です。
・むし歯治療をしたら、突然かみ合わせがおかしくなり、今ままで感じたことのない顎の違和感と痛みを感じ、顎関節症になったというケース。
・銀歯を外してセラミックに変えて調整してから、顎関節症と心身症になってしまったケース。
このように、むし歯治療をする、銀歯を変える、この一般的な歯科医療行為で、咬合がずれてバランスが乱れ、
健康や人生を脅かす危険があるのですから、患者さまは慎重に歯医者を選ぶ必要があり、
私たち歯医者も慎重に治療をする必要があると言えます。
だからこそ、お一人おひとりの正しいかみ合わせの位置を確認・把握してから、
治療はスタートすべきなんですね。
かみ合わせが変わり、筋肉や体調に異変を感じた場合、早めに対応すれば、回復するケースがほとんどですが、
何もせずにまたは間違った治療がされたり、症状が長期的になればなるほど、心身共に弱り、
どこで噛んだらいいのかわからない、治療が出来ないなどの状態となり、回復が難しくなってしまうのです。
歯の治療をすると、かみ合わせが変わります。治療の範囲が大きくなるほど、その変化は大きくなります。
完全に違う咬合を作り上げた時、それが正しい診断と判断に基づいているなら良いのですが、
咬合検査も咬合の確認もせずに歯の治療をすると、かみ合わせが変化した後の、
違和感、しっくりこない、全く慣れない、日々の生活に支障をきたすきっかけをつくります。
それが健康上の身体的精神的苦痛の原因、引き金になるのです。
咬合は常に変わるもの、咬合は難解で取り留めがない。と一部の歯医者には無視されています。
でも、きちんと患者さまの適応範囲を知り、それを管理することで、咬合は維持できると私は考えています。
「咬合における治療の方法や正解は一つではなく、患者さま個々の歯と顎関節、骨格に合うように、
日常生活で不快感なく機能できる範囲の中に収まることを目標とすれば、自然と安定し維持できるもの」
と思います。ぜひご相談ください。
虎ノ門デンタルプラクティス
長坂ヒロコ