『モノを見る眼は人を見る眼、人を見る眼はモノを見る眼』
一流を知れば、一流に欠けている何かがある、それ以下が分かるが、
二流を見続けると、一流も二流もわからなくなる。三流も推して知るべし。
*Goro Sakamoto (1923 – 2016) 不言堂
*Katsura Yamaguchi Christies Japan CEO
[art-alien.hatenablog. トウキョウ・アート・ダイアリー]より。
皆さんの、モノの価値、美しさの基準は何ですか?
世の中に存在する価値あるものを指す時、それはかなり高価で限定されていて、それを見る眼が必要であることが多いと感じます。
一方で、個人のモノの価値は、価格ではない、心が揺さぶられるほど惚れ込んで、
すごく大好きで、とても想い入れのある大切にしているものであると思います。
モノが繋がっていくと、物語りになり、ストーリーがあることで、より価値あるものになっていく…
先日、日本経済新聞社へ、古美術・骨董 月刊誌『眼の目』の特別講演会へ行ってきました。
お題は『美意識と銭(ゼニ)意識』
世界のアートシーンで活躍する、世界・日本文化のBig nameのお二人、
山口桂氏(クリスティーズジャパン代表)&杉本博司氏(現代美術作家)の対談。
人間は、意識が芽生え、美を見い出し、美しいものが価値あるものとされ、
その価値あるものを持つ者が権力者となり、
ステータスとなった。
これが美意識と価値の歴史。
人が素晴らしいからではない、美しいものを持つ者だから素晴らしいのだという。
人の意図的な意識によって美意識や価値は創り上げられてきたのでしょう。
そして、山口氏のある記事から、
価値を見極める審美眼は、本当に良いものだけを常日頃から見るようにする、これに尽きるという。
例えば食事、A級グルメを1回でも食べてみないと、B級グルメの価値もわからない。またB級にも違った良さがあることにも気づける。
両方経験することで、B級グルメの中にもさらなる良しあしがあることがわかり、見極める目が養われていく。
人が肥えることで、その人にしか味わえない「本当に価値あるもの」に気づくことができる。
長く経験を積み良いものを見て、知識を身につければ、一流かどうかは見極められる。
でもやはり一番大切なことは、
本当にそれが好きで、揺り動かされる心を持っていること!
そして週末は、日本歯科界のBig 3の一人、
『内藤正裕先生』の『くれなゐ塾』第一回目を受講して参りました。
世の中に存在するものも、治療においても、目に見える事実と思われているものを鵜呑みにせず、
目に見えないものを無視してはいけない。
人・物事に食らいついていって学んでほしい、そうすればきっと美味しい食事にありつけるから。
印象的なお言葉でした。
歯科医学とは、科学であり、アートであるというのが私の考えです。
この2つの異なる要素が結合して、私の歯科医の仕事が成り立ちます。
美しさ(歯の見え方)は「アート」であるし、
かみ合わせ(咬合や機能)は咀嚼:ソシャク=咬むことを扱う「科学」です。
だからこそ、一見異なる世界を常に重ね合わせて見てきました。
自分の人生のすべての場面で、質の高い良いものに触れ、本物を見て感じることが大切だと教わり生きてきました。
一流を知る機会、一流に触れる機会、本物を見ることを丁寧に培ってきたと思います。
一流のお二人に共通してあるものは、情熱と本質を見る眼、その姿勢です。(私はそう感じます)
歯を扱う歯医者として、私の価値あるモノや美しさの基準は、歯です。
歯は、”価値” と “美しさ” が共存しているものなんです。
もし、あなたにとっても価値あるものだとしたら、その自分の歯、誰に託し、どう扱い、どう魅せていきますか?
あなたの思う美と、そこにわずかに私の見る美を融合させて、
あなただけの美しさを創り上げ、価値を見い出すことが、私の仕事です。
もちろんそれがずっと美しくあるようにすることも。
美は見る人の眼の中にある。とは言いますが、
見る眼ができれば、その違いに気づくはず。
ものを見る眼は人を見る眼、私が大好きな言葉です。
虎ノ門デンタルプラクティス(TTDP)
長坂ヒロコ